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契約の履行 (06.11.11)

 “履行”という言葉は日常生活であまり使われませんが、履行そのものは日常生活で毎日のように行われています。

 例えば、スーパーにて、消費者が「これください」と言い、お店が「はい」と言えば契約は成立します。その際に行われる「お店が物を渡す」ことと「消費者が代金を支払う」ことが履行です。

 不動産の取引では、契約成立時と同時に「物を渡す=不動産を引き渡す」ことや「代金全額を支払う」ことは現実的に無理なため、いつ引き渡すとか、いつ代金を支払うなどを約束するに留まります。

 その後、約束した期日に向け、買主は住宅ローンなどの手続きをして代金を準備し、売主は不動産の引渡し(鍵などの物理的なものと登記手続きなど)の準備をしていきます。

 ※登記そのものは所有権の移転(引渡し)の要件ではなく、第三者に所有権を主張する対抗要件ですが、契約内容に「売主は買主が所有権移転登記手続きができるようにする義務がある」というような条文が盛り込まれます。
   ↓
  登記手続きには売主の協力が不可欠なため

 物理的な引渡しとは、鍵などを渡し、買主が占有(利用)することができるようにすること。

 ※賃貸中のオーナーチェンジなど例外もあり

 買主は住宅ローンの申込から銀行との金銭消費貸借契約などの手続きを事前に済まし、履行する日(決済日)に備えます。

 契約に基づく履行の義務は、売主・買主が対等な関係にあるため、契約時の特約がない限り、同時に行うことになり、一方が履行しない(準備できていない)場合、相手方はそれを理由として履行に応じない権利があります。

 これを同時履行の抗弁権と言います。

 例で説明しますと、買主に代金を支払う準備ができていなければ、売主は不動産の引渡しを拒絶できる。逆に、売主に不動産引渡しの準備ができていなければ、代金の支払いを拒絶できる。当然と言えば当然のようなことですよね。

 この抗弁権は一時的なものであり、相手方に準備が出来れば、改めて同時履行に進みます。しかし、いつまで経っても履行の準備が整わなければ、相手方は永遠に待つ必要もなく、債務不履行として契約の解除ができ、違約金や損害賠償を請求できます。

 注意して頂きたいのは、同時履行の抗弁権を使う前には、自分自身の義務は果たす準備が出来ているのが大前提です。自分も義務を果たしていないのに、相手方へ要求できません。

 自分が準備することにより、相手方の抗弁権がなくなってから、初めて請求できるということです。

 相手方が準備しないからと、準備を始めないではなく、自分が準備万端にして、相手を待つということが大事です。

 最近、不動産取引でも日常生活でも、自分のことを棚に上げてというケースを多く見かけます。まず初めに自分自身のことを見直して行動することが大切なことだと思います。


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